虚 血
心臓の筋肉(心筋)に血液を送る3本の動脈(冠状動脈)が徐々に沈着したコレステロールなどで狭くなったり、塞がったりして、そこから先の心筋が酸素不足に陥る状態を虚血性心疾患と呼びます｡冠状動脈が細くなり(狭窄し)心筋が一時的に酸素不足に陥り、胸痛や胸部圧迫感を招くのが狭心症で、冠状動脈が完全に詰まってしまって血流が途絶える(閉塞する)のが心筋梗塞です｡
【冠動脈形成術用（PTCA用）バルーンカテーテル】
PTCAバルーンとは一般的に狭心症や心筋梗塞の治療で使用され、動脈硬化や血栓等によって狭くなっている冠動脈の狭窄部位を内側から広げる為に使用する先端にバルーン（風船）がついたカテーテルです。
【冠動脈ステント】
カテーテルの先端バルーン部分に金属（ステンレススチールやコバルト合金等）の網で出来た筒状の物を被せる様にとりつけ、バルーンを加圧することで筒も同様に広がって血管内を内側から補強するものです。近年では再狭窄を防ぐ薬を塗った特殊なステント（薬剤溶出ステント）が開発され、冠動脈の狭くなった部分に留置すると、徐々に薬剤が血管に溶け出して再狭窄を防ぐ働きがあるといわれています。
不 整 脈
心不整脈が起きた結果として、「脈が速くなる」、「脈が遅くなる」という２つに分けられます。安静時でも１分間当たり100回以上と脈拍数が異常に多くなり、動悸を感じたり、意識が遠くなるような症状が現れる不整脈を「頻脈性不整脈（ひんみゃくせいふせいみゃく）」といいます。逆に、脈拍数が１分間に50回以下と少なくなり、意識を失うような症状が現れる不整脈を「徐脈性不整脈（じょみゃくせい ふせいみゃく）」といいます。
頻脈性不整脈は、刺激伝導系に余分な電気信号の発生源や伝達路ができてしまうことが原因です。頻脈性不整脈はアブレーション治療の対象となります。また致死性不整脈にはICD（植込み型除細動器）治療、CRT-D(心再同期治療機能付き植込み型除細動器）治療があります。逆に、徐脈性不整脈は刺激伝導系の働きが落ちていることが原因なので、ペースメーカーを装着し、外部から人工的に心臓の電気信号を補う治療となります。
【ペースメーカー】
ペースメーカーとは、脈を監視しながら、脈が遅いときや途切れたときに心臓に刺激を送り、心臓の拍動を補助する機能を持った装置です。
ペースメーカーを植え込むことにより遅い脈を正常に戻し、目まいなどの症状を軽減することができます。
ペースメーカーは５ｃｍほどの大きさの本体と、リードと呼ばれる細長い管で構成されていますが、本体を鎖骨の辺りに植え込み、リードを鎖骨下の血管から心臓まで通し、留置することで治療を行うようになります。
【アブレーション】
この治療では、カテーテルと呼ばれる細い管を血管に入れ、心臓へ持っていきます。アブレーション治療の場合は通常、先端に電極のついたカテーテルを複数用いて情報を解析し、異常箇所を同定します。
そして、アブレーションカテーテルと呼ばれる、先端の電極から高周波電流を流すカテーテルを異常箇所へと持っていき、そこの細胞を高周波により焼き、こうする事で、心臓の中を電気が正常に流れたり、あるいは心臓の細胞の異常をなくし頻脈が起こらないようにします。
【ICD】
心室で起こった頻脈（心室頻拍）や心室が痙攣状態となったもの（心室細動）は、心室から全身へ血液を送ることができなくなり、意識を失うだけではなく、場合によれば死に至る不整脈です。
このような頻脈を治療する方法の一つに、ICD（Implantable Cardioverter Defibrillator：植え込み型除細動器）を植え込み、治療を行う場合があります。
【CRT-D】
心臓の病気の中にはさまざまなものがありますが、それらの病気を発症し、体に血液を送るという心臓の収縮が
うまくできない病態を心不全といいます。心不全という状態になると、手足がむくんだり、息切れ、疲れやすいといった症状が出てきます。そのような心不全を治療する方法としてCRT（Cardiac Resynchronization Therapy：心臓再同期療法）があります。
これは装置から左右の心室へ刺激を送ることにより、心臓の収縮を補正し、ポンプ機能を改善するという治療です。
CRT-Dとは、このCRTを行う装置にICDのような電気ショックを行う治療を付加させたものです。
ICDとは、心臓の中の心室と呼ばれる部分で頻脈が起こった場合に、電気ショックを起こすことでそれらを止める機能を持った装置です。
